sachi LOG

認定NPO法人D×P(ディーピー)で広報・マーケ・ファンドレイジングをやりつつ、オカン業もやっている入谷佐知の日々のログです。ブランド経営コンサルタントの師匠の元で修行したのち、現職。

『10万人に愛されるブランドを作る!』で、愛されるブランドの人格を知る。


10万人に愛されるブランドを作る!

10万人に愛されるブランドを作る!


―この本は、「ブランディングとは何か?」を初歩から知りたい方向けの本だね。

そう師匠に言われ奨められた一冊。

著者はスターバックスの日本進出を手掛けたマーケッターであり、ライフネット生命保険マーケティング部長として活躍された中田華寿子さん。おもに、スターバックスとライフネットの2社を事例にとって、「ブランド」について書かれています。最初の基本的な部分に記述の仕方が、勉強になったのでメモします。

●ブランドとは何か?
”「企業と消費者との間に、心地よい関係が確立された状態」
そして、このブランドが、企業にとっての競争優位や長期的な収益の基礎になる。”

このようにこの本では定義しています。私は、これまで聞いた中で、「ブランド=思い出の総体」という定義がしっくりきているのですが、こちらの定義も、またいい感じだなあと思います。心地よい関係は、企業と消費者の間の「思い出」によって成立していると言えると思います。

●では、なぜブランドが「企業にとっての競争優位」になるか?

「その企業の、そのブランドのものだから買いたい」と思うためです。例えば、「その企業の、その想いと理念を背景につくられたものだから買いたい」と商品を選んだとき、人は、単純な機能や値段の安さという理由だけで他の商品に乗り換えません。その企業やブランドが好きだからこそ、購入する。この「好き」という感情が、とても重要な競争優位性となります。

●では、どうしたら、好きになってもらえるのか?
この本では、「愛されるブランドの人格」として、4つが紹介されています。
―1:「理念」がある
ー2:「顔がみえる」
ー3:「正直」である
ー4:「NO」と言える

友人同士、恋人同士が長くよい関係を築いていくための法則かと見まごうほどの内容ですが、しかし、ブランドもまた、長く良い関係を築いていくという点においてはブランディングは恋人同士の関係性づくりと殆ど変わりはないのだと思いました。(『明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)』にも、「広告はラブレターである」とありましたっけ)

なかでも、ひとつめの「理念」がある というポイントは非常に重要だと思います。
ライフネット生命の出口社長は、

少子化は日本の成長を妨げる課題だ、そして少子化の原因は子育て世代の若い人の収入が低下していることだ。保険料を半分にすることで若い人に安心して赤ちゃんを産んでほしい」「20代から40代前半の若い人たちが安心して子供を産み育てることができるように保険料を半額にする」

このような理念の下、インターネットで安価に契約できる「ライフネット生命」を立ち上げたのでした。ライフネットを支持している人の多くを支持している人の多くは、「安いから」でなく、「この理念に共感して」いるのだろうと著者はいいます。

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』で紹介されるような100年以上続き愛される企業は、利益追求を超えた目的を必ず持っています。

なぜ、その企業はこの社会に存在するのか。
なぜ、その商品はこの社会に存在するのか。


この根本的な問いが、ブランディングを形作る前提条件なのだと思うと、どうにもゾクゾクしてしまう私です(笑)これ以外にも、この本には、この理念を広く伝える方法、インターナルマーケティングソーシャルメディアマーケティングなどが取り上げられています。ブランドに興味ある方ぜひどうぞ。

22,October,2012
Sachi IRITANI
株式会社アム 京都ブランチ担当/NPOブランドマネジメント/NPOファンドレイジング(助成金獲得)/子育て長屋プロジェクト(仮)思案中/里親志望/2011年出産/2012年に神奈川から京都へ/空手とヨガ
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