【読書録】『非営利組織の経営』―非営利組織は、ミッションなしには存在しえない。
- 作者: P.F.ドラッカー
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/01/27
- メディア: 単行本
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現在、ドラッガー著『非営利組織の経営』の読書会を行っていて、ようやっと先週読み終えたところです。(今週からは、『ビジョナリー・カンパニー』を読み始めました。これも相当面白いのでまたエントリー上げようと思います。)
非営利組織の経営から得たインサイトが多すぎて、一つのトピックごとに1エントリーたってしまいそうですが、とりあえず今回は、中でも最も重要な「非営利組織とミッション」について書き記したいと思います。
【1】「非営利組織を経営しよう!」と思った時に、まずリーダーが着手すること。
それは、「自らの組織のミッションを考え抜き、定義すること」(p3)です。
ドラッガーは、ミッションはシンプル・明快で、非営利組織に関わる者全員に「正しい行動」をもたらすものだとしています。
ミッションは、リーダーにとっても「正しい行動」をもたらすものです。
非営利組織の代表の仕事は、激務です。日々大量の案件が飛び交い、ニーズが変わり、時代の要請が変わるなかミッションを考え抜き、定義したという経験があれば、「どれが自分たちがやるべきことで、どれがやるべきことではないか」という自分の中の軸で、その激動のなかをすみやかに判断して、本来やるべきことを為すことができます。
もし、ミッションが「考え抜」かれていないものだったら、それはリーダーにとって、判断軸とはなりえません。すなわち、「正しい行動」をもたらさないただのお飾りミッションになってしまいます。
【2】ミッションを定義するための3つの問い(p7)
1:社会的要請、ニーズは何か?
2:われわれの強みに合っているか?(orそれは今後自分たちの強みとしていきたいことか?)
3:心底価値を信じているか?
策定したミッションには、この3つの要素が盛り込まれている必要があります。
つまり、2・3だけでは自分勝手なまま(社会的ニーズが反映されていないなら、そこに価値はありません)、1・3だけでは高いアウトプットを出すことができない(病院のミッションが「病気の予防」だと変だよねということ。病院の専門性は予防でなく治療です)1・2だけでは、自分の高いコミットを得られず長続きしません。
【3】考え抜いたミッションがないとどうなるか?
この『非営利組織の経営』で、ミッションについて主に書かれているのは第一部第一章のみですが、ほぼどの章にも「ミッション」という言葉は出てきます。そして、考え抜いたミッションなしには、非営利組織は経営できないことがわかります。納得感ある確固としたミッションがなければ、目標は設定しえず、戦略は設定できず、資金は獲得できず、人材(有給スタッフ、無給スタッフ、理事など様々なステークホルダー)は集まらず・育たない。ドラッガーは、「非営利組織はミッションのために存在する」と言いますが、まさにそうで、ミッションなしには非営利組織は存在しえません。
ということで、ミッションが大事ですというエントリーでした。
この考え抜いたミッションを、ただの意図にしないためにどう実行に移すかについても『非営利組織の経営』の第2部以降に書かれています。NPO関係者の方は既読かと思いますが、今読むと新たな気づきが盛りだくさんではと思います。おすすめです!